二次創作の更新履歴など
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 緒方にとって塔矢アキラは囲碁の世界では自分の後ろにぴったりと張り付いて、肩に手を掛けられたそんな気持ちを持っていたが、日常の中ではそれこそ産まれたときから知っていて、おむつ変えたこともある、学生時代小遣い稼ぎにバイトで子守もしたこともある、本人は中学を卒業したばかりのくせに大人のつもりでいても実際がまだまだ子どもの、甥のような、歳の離れた従弟のようなそんな存在つまりは恋愛の対象にしない、ではなく範囲外すぎて考えもしない存在だった。 だからその日もアキラと碁会所ではじめた師匠の中国リーグでの棋譜の検討が終わらず碁会所をしめる時間になってしまった時には軽い気持ちで自分の部屋に誘った。碁会所は冷房が効いていたが外は夜になっても蒸し暑く帰ってくるまでに下着が貼り付くほど汗をかいてしまった。家を出るとき25度に設定しておいたのを2度ほど設定を下げ、最近見つけた店のクッキーをトレイに並べてノンカフェインのインスタントコーヒーをアイスにして一緒に食卓に出して着替えてくるまで待ってくれるように言って寝室に引っ込んだ。寝室に鍵を掛けることなど思い浮かびもしなかった。クローゼットからクルーネックのTシャツとフ レアスカートを出し、汗を吸った下着の替わりに伸縮性のあるタンクトップを身につけることにしてタンスから出した。身につけていた衣類を全て取り去って深呼吸したとき、ノックがして寝室のドアがすこし開き、アキラがためらいがちにトイレを借りたいと声を掛けてきた。ドアの前には屏風のようなスクリーンを置いているのでアキラの位置から緒方の姿は見えないはずであったから緒方は一瞬びっくりしたもののリラックスした声でかまわないと応えた。が、アキラの立ち去る気配がなく緒方はいぶかしげに「アキラくん、どうしたの?」と尋ねるとアキラは何も言わずにドアを開けスクリーンをどかし寝室に入ってきた。全裸の緒方は 慌ててスカートで身を隠そうとしたがアキラは緒方をベッドへ押し倒し、唇を押しつけてきた。 来年三度目の年女になるにも関わらず独身の緒方であったが、今まで恋愛経験がなかったわけではない。相手から囲碁を取るか恋愛を取るか選択を迫ら れたときに限ってどういう巡り合わせだか重要な対局が組まれていてその都度囲碁を選んできただけのことだ。育児などに追われてしまっているのか普段勉強していない、そんな女流を見てしまって「ああはなりたくない」そう思ってここまで、女流として初めて七大タイトルのうち二冠を得るところまで上り詰めたのだ。 アキラがのぼせ上がって爆発寸前なのは見て取れた。これを止めることはできないだろう。緒方はあきらめてアキラに身を任せることにした。とにかく一旦爆発させていつもの冷静なアキラに戻ってから今後こんな事をしないように言い聞かせるしかないだろう。 アキラが何かぶつぶつと言っている、耳を澄ませてみると「お父さんじゃなく僕を見て」と言っているようだった。師匠を恋愛対象で見ていたのは恋に恋していた昔々の話しで、いまでは師匠ほど恋愛に向かない性格の人はいないとわかっている。だから、師匠に恋し続けていられる明子夫人は緒方にとって驚異の人であった。だが囲碁の世界では自分はずっと師匠を追って、師匠を見てきた。師匠が倒れる直前、背中の見えるところまで一旦追いついたと思ったが、結局また追い抜かれてずいぶん先へ行かれてしまった。アキラは自分が師匠を見ているのを恋愛だと誤解しているらしい。 翌朝、アキラに説教をして帰した。それからもアキラが緒方の隙をねらっているのは感じたが放って置いた。そのうち、同年代の子とつきあうようにな れば自分のことなど忘れるだろう。 PR
「白川さん」から同期会をしたいと連絡があった。行っては駄目、また迷惑をかける、甘えてしまう。わかっているのに、会いたい、話をしたい。ううん、顔をみるだげ、声を聞くだけでいい。それくらいはまだ許してください。
森下九段の後援会筋からお見合いの話が来ていると芦原くんから聞いた。「白川さん」にお似合いの笑顔が可愛いくて、穏やかで、しっかりした人。色々な話が耳に入ってきた。私には許されない「白川さん」の隣に立つことが出来る人。うらやましい、そう思ってしまう。私はもうすぐ会うこともできなくなる。 ちがう、私がこの世界から消えなければならないからだ。たった一つ残っていた同期入段という糸を切らなければいけないからだ。「みっくん助けて」 二人で上京して、院生になって、入段も一緒だった。でも入段してからは三人になった。そしてまた二人になって。でも気付いたら私は一人になっていた。 それでも苦しい時は同期会と言って会ってくれた。 入段したときには三人だった私たち。二人になって二十年近くたつのに同期会のときいつも用意されるのは三つの席。あの時から「白川さん」と呼ばなければ返事してくれなくなった。
ー白川ー
ホテルのバーラウンジ ウォッカを飲んでいる白川。 そこに緒方来る。 白いスーツだが、足元はいつものピンヒールではなくフラットなパンプス。 おまたせしました。白川先生。 場所をかえましょう。 クロークの札は? 白川が案内したのはジュニアスイートルーム。 ソファーをすすめ、冷蔵庫から豆乳を出し、緒方にコップを渡す。 寝てしまう緒方。 かわらないね。安心できるとおもうとどんなところでも寝られる。 ベッドへ運び、スーツをぬがせるとグラスに入れたワインを振りかけ、ランドリーバックにいれパンプスと一緒にドアの脇に置きフロントに電話をした。 ベッドにもどると服を脱ぎ、全裸になると、残っていた緒方の下着もはぎとった。 信じられる人がそばにいるとき、一度寝ついてしまうと、回りで大きい音がしてもおきない。寝不足の時は特に。ねぇ、塔矢くんにもそんな無防備のところをつけこまれたの? 枕の下から潤滑剤を取り出し、準備をすると挿入をはじめた。 本当は奧まで入りたいけれど、流産は困るからね。
きっかけ2
平成13年9月 背景の登場人物 緒方次子 囲碁の棋士。女性で初めて8大タイトル獲得(十段)現在二冠。妊娠中。 囲碁は父方の祖父正直に習った。地元の席亭の紹介で中学一年で塔矢行洋の内弟子となる。院生を経て中学二年でプロ試験合格。同期は白川道夫・芳澤さくら。白川とは家が隣同士の同級生の幼なじみ。白川は同じ席亭の紹介で森下の弟子となった。幼少時母親が入退院を繰り返す姉に付きっきりだったため母親と絆が結べなかった。小学校時代は父方の祖父に、中学以降は行洋の母親に育てられた。 白川道夫 囲碁の棋士。七段。強さより教え方のうまさで定評を得ている。二次予選と三次予選を行ったり来たりしている印象を与えているがよくよく見れば三次予選の常連。実家は次子の家の隣。次子の父方の祖父正直に囲碁を習った。次子と同じ席亭の紹介で森下の弟子になったが当時森下が独身で一人暮らしだったため父親の従兄弟の家に下宿していた。父親は和菓子職人。店は祖父・伯父・従兄弟が継いでいる。地元の名物饅頭の製造・販売元の老舗。母親も店を手伝っていたのでしばしば正直に預けられた。 緒方正直 次子の父方の祖父。趣味:囲碁。次子の母方の祖父尚吉とはハトコだがそれよりも碁敵。石部金吉な兄貴分の幼なじみと思っている。元水道店経営。妻の死を機に店をたたんで隠居。トイレの水洗化で一儲けしそれなりに裕福。長女に付きっきりの嫁・店が忙しい息子とその舅にかわり次子を育てた。 緒方尚吉 次子の母方の祖父。趣味:囲碁。正直とはハトコだがそれよりも碁敵。軟派な弟と思っている。豆腐職人。頑固不器用。 緒方虎夫 次子の父親。豆腐職人。体格も性格も正直より尚吉に似ているため息子だと思われている。妻芳子とは幼なじみで、恋心は持っていたが口には出せなかった。成人式の後、二次会でも飲み足りなかった芳子に付き合い酒を飲み記憶をなくし長女が出来た。 緒方芳子 次子の母親。気が強く、他人の心には鈍感なところがある。次子が帰省していないのも気にしてはいない。二十一歳で生んだ長女が先天性の腎臓疾患で入退院を繰り返していたため次子の面倒はあまり見ていない。次子が懐かなくても気にしてはいなかったがかわいがりもしなかった。 荏田総子(旧姓:緒方) 次子の二歳上の姉。十歳頃まで入退院を繰り返していた。手術後は健康体。現在夫の転勤で八戸在住。性格は母親に似て気が強く、他人の心に鈍感。 緒方健児 次子の十歳下の弟。次子とは二歳で離れて暮らすようになったのであまり気にしていない。豆腐が好きで、腕もよいが自分は上の下、上の上だった祖父や父親に及ばないと思っている。先細りの店の維持のため豆乳や笊豆腐のの通販を始めたばかり。 白川政恵 道夫の母。福井出身。母親のいない次子の面倒をよくみた。 塔矢初江 行洋の母。賢夫人。行洋を女手一つで育てた。次子を娘のように思っている。行洋の結婚後は熱海でくらしている。 塔矢明子 行洋の妻。福井出身。京都の女子大を卒業後行洋と結婚。後援会幹部紹介のお見合い。次子はその前年に独立したため一緒に暮らしたことはない。姑も結婚後熱海に移ったので一緒に暮らしたことがない。 塔矢アキラ 行洋の息子。中学三年生。次子の弟弟子。次子の子供の父親。自分がしたことを自覚し反省中(のはず)だが次子の隙をうかがっている気配もあり。次子の様子が変なことには気づいている。 |
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